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前回はゲームデザインの鉄則
「初心者には明確な答えを、上級者には多彩な選択肢を
について、思い返せば名作はどれもこれを徹底していると実感したことについて書きました。

今回は対人アクションゲーム、ロールプレイングゲームの場合、
ソシャゲの問題点改善点について書きたいと思います。

対人アクションゲームの場合

対人のアクションゲームにおいては、初心者に明確な答えを与えるのはかなり難しいです。
何故なら、

明確な必勝法

があるゲームは対人ゲーム失格だからです。

一応、必殺の手段それに準ずるものがあって、
それを発動させていくという道筋を示すことはできます。

この場合多くの作品では、「誰にでも使いやすいオーソドックスな武器やキャラクター」
を用意していることが多いです。

上級者に多彩な選択肢を与えるには、バランス調整が極めて重要になってきます。

特定の武器やキャラクターが一強になる環境

に選択肢は無いからです。

しかしどうしてもキャラの強弱・武器の強弱というものはなくなりません。
運営は調整を繰り返してバランスを整えていきます。

そしてこのバランス調整もかなり難しいものです。
基本的には強すぎる性能を持つ存在をナーフすることで調整をしていくのですが、
それで必ずしもゲームが面白くなるとは限らないからです。
ナーフされた武器やキャラクターをメインで使っていた人にとってみれば
ナーフでかなりゲームがつまらなくなってしまいます。

運営はどうすべきなのか。
この問題について感銘を受けたのがこの記事です。
スマブラの桜井政博さんのインタビューです。
「強すぎるキャラクターがいるときはそのキャラの個性を殺さず、短所を加える」

調整は加えるが、それによってゲームをつまらなくしない
という絶妙なバランスで成り立っていることがわかります。

ロールプレイングゲームの場合

上級者に与えるべき多彩な選択肢としては
増えていく技やスキル、ゲーム自体のやりこみ要素がありますが
重要なのは初心者にこれらを与えすぎないことにあると思われます。

できることが多すぎると何をしていいのかわからなくなります。
なにをしてよいのかわからないという状態はかなりきついので、
初心者がゲームから離れてしまいます。
買い切り型のゲームならともかく、基本プレイ無料の
ソシャゲやフリーゲームとなるとなおさらです。

初心者に示すべき答えは「何をすればいいのか」です。
RPGはその性質上、面白さにたどりつくまでにかなり時間のかかるジャンルです。
そのため、ストーリーで引き込んだり、綺麗な世界観を演出したりして
あの手この手でプレイヤーを引き込みます。

プレイヤーを離さないようにするには、
そのゲームにやりこみ要素がたくさんあっても
あえて見せずに抑えていくことが重要です。

ゲームの進行とともに施設がアンロックされていくのは
かなりワクワクする仕様なので一石二鳥です。

ソシャゲの問題点改善点

ソシャゲでは「リセマラ」がひとつの文化として根付いています。
リセマラとはチュートリアルでガチャで目的のキャラクターが引けるまで
アンインストールを繰り返すというものです。
これでは結局当たりが出るまで引き直すのでランダム性も何もありません。

プレイヤー心理としては序盤から強いキャラクターを使いたいと思うのは自然なことです。
とすれば、制作側は「強いキャラクターをたくさん用意する」
「ハズレを引いても楽しめるバランスに調整する」といった工夫が必要です。

ソシャゲではこのチュートリアルガチャに対する取り組みが根強く、
「最初に大量に課金アイテムを配布したくさんガチャをひかせる」
「リセマラせずとも初回は何度でも引き直せる」
「そもそも最初のキャラクターを選べる」
といったようにゲームによって様々な工夫を凝らしています。

セールスランキング上位常連のFate/GrandOrderではこのうち
「ハズレを引いても楽しめる」ことに注力しています。
レアリティの低いキャラクターにも代替不可能な一芸を持たせることによって、
低レアリティキャラの存在価値を高めています。
レアリティが低いことをただ外れとするのではなく
プレイヤーの手で新たな活躍の場を持たせられる存在としたことの意義は
大きいと思います。

余談

こうしてわかるように、
ゲームのバランス調整というのは非常に難しいものです。

そんな中で数十年にわたりアプデなしで
バランスを保ち続ける神のゲームが存在します。

その名もズバリ、将棋です。

あれはすごいゲームです。

相手の王をとるという明確な目的
必勝法のない無限の策略と選択肢
双方同じデッキという公正性

こと対人RPGゲームにおいて将棋を超えるゲームを
生み出すのは至難を極めると思われます。

だからこそいろいろ考えてみたくなりますね。

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書いた人 新人博士
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